社会保険労務士の基礎知識
社労士の歴史は?いつ頃できた資格?

社労士の資格は、1968年に「社会保険労務士法」が制定されたことでできました。
戦後、商法のみでの雇用関係の調整は実情にそぐわないことが多く、労働関係調整法、労働基準法、労働組合法の「労働三法」が制定されました。このことで、労働者の権利が労働三法によって明示され、判例によって整備されていきました。
そして、高度経済成長に伴い、労働者と使用者の間で対立やストライキが頻繁に起きるようになります。
特に1960年代の日本経済の急激な成長により、所得が上がり税収は増加し、国内企業も大きくなり社会保険料も増加しました。
そのため、厚生年金・健康保険・労災保険・雇用保険は発展しますが、同時に補償額の高度化や制度は複雑化していきました。
そこで、中小企業の担当部門では、給付・申請などの手続きが困難になっていってしまいました。
これらに対応し、事務手続きを代行して行う専門家が必要となったために社労士が生まれました。
また、この時代、こうした書類作成業務などを代理で行えたのは行政書士でしたが、社会保険分野でより専門的な知識をもつ専門家が必要とされたため社労士方が1968年に制定されました。
こうした背景から、この時のみの特例として行政書士が試験を受けることなく社労士の資格を得ることができました。約9000名がこれにより社労士の資格を得ています。
そのため、この時に社労士になった特例社労士は、現在の社労士の独占業務のうち提出代行・事務代理・あっせんは行うことができません。行政書士の仕事に含まれていた書類作成や代行ではない使者としての提出のみが認められていました。
社労士の仕事が、元は行政書士と同じというのは、こうした背景があったからなのです。
また、2007年4月の司法制度改革で、裁判外紛争解決手続制度の代理権が認められました。これは研修を受け、試験に合格した「特定社会保険労務士」のみが行うことができます。
1968年 - 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)制定
1986年 - 書類作成基礎事項表示権・他人作成書類審査権付与
1998年 - 審査請求代理権付与(審査請求の代理人は旧来より社労士でなくても資格は不要で、誰でも出来る。)
2000年 - 社会保険労務士試験事務を連合会へ委嘱
2003年 - 社会保険労務士法人発足、ADRあっせん代理権付与
2007年 - 裁判外紛争解決手続制度の代理権付与、特定社会保険労務士制度発足
参考:Wikipedia
これが社労士の歴史です。
業務範囲は時代の変化に合わせてこれからも広がっていくかもしれません。
あすか社会保険労務士法人
大東恵子
東京都社会保険労務士会会員(第1391号)
特定社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー、日本FP協会認定講師。
大阪府出身。
平成4年に日商岩井株式会社(現在の双日株式会社)入社。
平成9年日商岩井株式会社退職、大東社会保険労務士事務所設立。
平成17年さくらソリューション株式会社設立。
平成18年労働保険事務組合日本総合労務マネジメント設立。
平成20年おおひがし労務経営事務所をあすか社会保険労務士法人に組織変更。
17 開業する予定がなくても社労士の資格をとっておくと便利?